映画 「マンハッタン物語」 マックイーン ナタリーウッド 珠玉の佳作が当時、日本でウケなかったワケとは?

mimi-pon5


やっと、やっと観れました! 昨年日本でDVD化されまして、このたび待望の視聴~。

映画 「マンハッタン物語」  


P4012112.jpg

数多くの名作を生んだ名コンビ。製作のアラン・J・パクラと監督のロバート・マリガン作品。スティーヴ・マックィーンとナタリー・ウッドの2大スター共演のラブ・ストーリー。ニューヨークを舞台に大人になりきれていない若い二人の愛を、時にはユーモアやシリアスな描写も交えて温かく描き出す 1963年制作 103分(Amazon解説より)


いやあ~良かった。


ニューヨークの決して裕福ではない下町で生きる人々。浮名暮らしミュージシャン役のマックイーン。イタリア移民系の大家族が住むアパートの狭い世界。いつかそこから抜け出して、幸せな結婚を日々夢見るデパートのペット・ショップで働くナタリー・ウッド。


そこで生まれ育った2人の、どんな男女にもありうるような恋物語であり、心にポッと灯りのともるような、小品ならではのさわやかな後味。 ナタリー・ウッドはこれでアカデミー主演女優賞候補に。アメリカでは今も評価の高い作品であるのも大いに納得。


、、、しかし、ならば、なぜ? この作品が、当時の日本人に、それほどウケなかったのか?

ビッグ・ネームの共演作にかかわらず、長いこと、ほぼ忘れられていた作品であったか、その理由も、同時によーく分かった次第。


この物語は『出来ちゃった婚』 昨今は『さずかり婚』ともいう、ハッキリ表現してしまうと「堕胎」という、とてもナイーブな男女間の心の揺れや愛の有り方を描いてるからだった。 


演奏家のロッキーとデパート・ガールのアンジーは、ある一夜を共にした2人。ある日、彼女が「私、妊娠しちゃったの!」といきなり彼の前に現れる。すったもんだの2人はとりあえず愛はないのだから、「堕胎」をしようと決意するも、その日だけを必死に生きてる彼らには、まとまったお金などあるハズもなく。。


ロッキーは浮草暮らしの身ゆえ、またアンジーは妹思いの兄に妊娠が知れたら半殺しされるゆえ、2人で二ューヨークの片隅でヤミ医者を見つけ、そこで秘密に堕胎してもらおうと試みるも・・・。そこがとんでもない場所だった。


1963年というと、日本は昭和38年。


少々、当時の日本人にはこの内容はシリアスすぎたのではないでしょうか?


想像することしか出来ないけれど、まだこの頃の日本女性は、結婚まで貞操を守るのが当たり前という概念の人も多かったのではないかと思う。  


「マンハッタン物語」という、ロマンチックな邦題につられ、当時、劇場まで気軽に出掛けたカップルは映画を観ながら、内心気持ち慌てふためいたのではないだろうかと今更ながら心配してしまったくらい(笑)です。



P4022143.jpg
ヤミ病院に行ったものの、それがとんでもない不衛生でずさんなところと知り、傷つき堕胎を拒否しタクシーに乗り込む2人。泣き叫びショックを受けるアンジーに寄り添ううち、ロッキーの彼女に対する気持ちにも少しずつ変化が訪れます。


このストーリーの生々しさ。 一筋縄ではいかないリアル人間模様。 それが名作「アラバマ物語」などを生み出した、社会派のアランJパクラ=マリガンコンビ作だなあとつくづく思いましたね。


同時期のニューヨークで思い浮かぶのがまず「ティファニーで朝食を」

しかし、こちらは高級5番街ではなく、下町のムンムンとした裏通りや夜のネオン。当たり前ですが、多人種がひしめきあい必死に働いて生き抜く場所。「ウエストサイド物語」にも通じる泥臭さが、モノクロの画面からもヒシヒシと伝わるんだなあ。


ロッキーは次第に、純粋なアンジーに魅かれつつも、結婚なんて人生の墓場だ!派。そんな彼の気持ちを推し量り、彼女は身ごもったまま、他のイタリア人男性と婚活するも上手くいかない。そんな彼女を見ていくうち、ついにロッキーは結婚を決意するのですが・・・ 


しかし、その理由が女性にとったら・・・サイアク!


なぜなら「子供の責任を取る為に結婚しよう!」というではありませんか。ああー 女心分かってないなぁ~。

当然ながら、アンジーは怒るワケです。そりゃあなた、違うでしょって。結婚は責任でするものじゃない! 当然ですよね。 そこに断じて「愛」がなければ。 ~この2人の恋の結末はいかに??


P4022145.jpg
ほぼ全編が室内劇とニューヨーク・ロケで派手さは一切なし。しかし約一時間三十分強。全然飽きません。アクションなどなくとも会話の妙や役者の演技だけでも映画はこんなに面白いのだと、久々基本を教えてくれたような作品。


マックイーンも、アクターズ・スタジオ仕込みの繊細な演技を見せ、ナタリーは「ウエストサイド物語」「草原の輝き」を経て、まさに女優として人気絶頂の時期とあり、体当たり演技で挑む姿はとても健気。2人とも大好きな私はどうしたって贔屓目になってしまうのですが^-^


ただ、しいていえば・・・マックイーンは野性的でしごくチャーミングだけど、少々ミス・キャストだったかなとも思う。マックイーンじゃなきゃ決してダメな役ではなかった。

どうしても無骨で実直なマックイーンが、ニューヨークで女のアパートを渡り歩いているモテ系の軽いプレイボーイに見えないのです(笑)


そこで、フッと思い出してしまったのが、「ティファニーで朝食を」の、オードリーの相手役だったジョージ・ペパード!


以前、映画ティファニーの監督であるブレイク・エドワーズが、DVD特典で語っていた内容に驚いたことがあります。

それは、『私はG・ペパード自身は好きだったが、もしティファニーをリメイクするとしたら彼はたぶん使用しない』と話していたこと。

オードリー&G・ペパードコンビのSweetな雰囲気が大好きな私としては、いささかショック(><)なコメント。ようは監督として、ハンサムで二枚目以上のプラスα 「なにか他のもの」も求めたかった、ということでしょうね。


それでいうとこの「マンハッタン物語」のロッキー役は、その日暮らしのジャズマン。妊娠にアタフタする二枚目設定こそ彼=ジョージ・ぺバードにぴったり!


そしてその逆で・・・マックイーンが、ブレイク・エドワーズ監督にもし「大脱走」の前に出会っていて、オードリーの大ファンを公言してた縁で、「ティファニーの朝食を」に出演していたとしたら・・・? またまたこちらも映画史に残る奇跡の共演になっていたかも・・!


ui.jpg
こちらが上↑ご存じ「ティファニーで朝食を」のオードリー&ペパード 所有の雑誌「スクリーン」のピンナップ。 このフォトは個人的に二人の表情がとってもい~い感じで大好きなショット。


ニューヨークが舞台の60年代前半制作映画。 時間軸が少しでもズレて、こっちとあっち。キャスティング入れ替わってたら、どうなっていたんだろう~~??


などなど~~今となってはどうにもならない妄想キャスティングを勝手に想像するのまたも楽しい。


「マンハッタン物語」 今も永遠のテーマである男女の結婚。それを60年代のニューヨークの下町に住む、互いの価値観を理解し合おうとしながらも、スレ違うカップルを、時にシリアスにコミカルに描くこの映画、今こそ多くの人たちに観て頂きたいです。



「Love With The Proper Stranger 」  マンハッタン物語 Trailer


そして、もうひとつ、映画を観ていてたまらなく切ないことがあります。。それは、マックイーンもナタリーも、思えば信じられないような若さで地上からいなくなってしまった2人。その事実を実感してしまうから。


マックイーンは、この映画出演後ますますアクション中心の大スターの道をまっしぐら。ナタリーはその後、ニューシネマなどの波による個性派女優達の台頭により少しずつハリウッドの仕事をセーブしていくことに。


lovewiththeproperstrangerposter (1)

けれど、この映画の中のマックイーンもナタリーもフィルムの中でイキイキと永遠に生き続けている。 こんな素晴らしい俳優たちが間違いなく 存在した。 それが奇跡のように現在も確認できる。

それこそが映画の醍醐味であり、私たちファンにとってもっとも幸福なことだと思います。




スポンサーサイト



Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply