「緑色の女」 アーナルデュル・インドリタソン 恐ろしくも悲しいアイスランドのサスペンス

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misy.jpg緑衣の女
アーナルデュル・インドリタソン

男の子が拾った人間の骨は、最近埋められたものではなかった。
発見現場近くにはかつてサマーハウスがあり、付近には英米の軍のバラックもあったらしい。封印されていた哀しい事件が長いときを経て捜査官エーレンデュルの手で明らかになる。


CWAゴールドダガー賞・ガラスの鍵賞を受賞。世界中が戦慄し涙した
究極の北欧ミステリ登場。







私に、「アイスランド」という国にまで
興味をもたらしてくれた一冊となった
北欧大人気サスペンス・シリーズ第二弾。

ある日、ふいに少年が発見した人間の骨。
一体誰のもの?これはいつのものなのか?
そして、どうしてここにあるのか?

自らも様々な過去を背負い、別れた妻との間に出来た娘の非行に
心を痛める中年刑事エーレンデュル刑事が
同僚の男女2人のコンピと共に 、その謎を今回も解明してゆく。

そして、事件の真相が、まるでパズルを1つ1つ、はめみむように重なって
その遠い過去が浮き彫りになった時・・・
今回も、おぞましく何とも痛ましい一家の過去の出来事が浮かび上がってくる!

この小説の中で書かれる、凄まじいDV描写。
この作者を始めて手に取る方は思わずページをめくるのが
途中、辛くなってしまうかも知れません。

でも、どうかどうか・・手を止めないで戴きたいのです。

いいえ、決して、もうすでにその手を止める事は出来ないと思う。
悲しく、誰しもが止めることの出来なかった人間の持つ
それぞれの過去がこのシリーズでは必ず、最後、判明されるからです。

このシリーズは日本翻訳、一作目の「湿地」三作目の「声」を先に読んでいる。
だから、このシリーズは残酷だけれど、人間が背負う哀しさを見事に書いた特色、
そしてサスペンスとしての面白さは既に知っていた筈なのに・・

今回ばかりは、さすがに決して許しがたい犯人に対する怒りと、
一家を襲う暴力描写に胸が痛んで、私もやりきれなさでいっぱいになってしまった。

しかし、救いはこの事件が行われた時代背景。
またそれぞれの人間が許容範囲を抱えた中で、生きぬかなけばならなかった事実。
その事についても妥協を許さない、一級のサスペンスであった事に
やはり間違いなかったからだ。

皆にとっては、今となっては遠い過去、・・
なのに、誰しもが真相を知った時、声をつまらせ、また犯人への果てしない憤り。
そして、それを背負い込んだ、余りに悲しい物語を読む都度、知ることになります。
決して、当事者にとっては「過去」でないことを・・。

このシリーズには拳銃のドンパチも登場しません。
なのに、何故、世界中でこれだけの読者を惹きつけ、人気作となったのか。

舞台が「アイスランド」という独特な地域のせいかも知れません。
人々が生きてきた歴史や過去と静かにクロスしていきます。

北海道と四国を合わせた位の大きさの33万人しか住んでいない国。
凍てつくように寒いけれど、その一方で、火力も電子力もないく
水力と地電たけで人が住める空気の済んだ土地。

それにしても、主人公のエーレンデュル刑事。
余りにも、過酷な日常だよ~

背負うには重すぎる少年時代のトラウマを抱えているばりか
別れた女房には会えば「罵倒」されるし
娘の非行はどんどん進み、麻薬漬けで手をこまねいている。

それもこれも、彼が「刑事」という特殊な職業についている為
家庭をおろそかにしてしまったという・・負い目
欧米の刑事物の主人公は、こういうタイプ多いですよね。
そんな哀愁が、たまらなく応援したくなる。

「エーレンデュル刑事、頑張ってー」
早くも、このシリーズの次が読みたくて仕方ないです!
私は、すっかり主役中年刑事エーレンデュルのファンになってしまっている。

この作品は余り普段から、海外小説を読まない方でも
この作者の簡潔さな文章、そして適度な量文に
きっと読み易さを感じて戴けると思います。
大お奨めの一冊です。




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