「わが心臓の痛み」マイクル・コナリー ボッシュ・シリーズと共にマイ・フェイバリッツ作品!

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2001年度『このミステリーがすごい!』第6位 「わが心臓の痛み」
クリント・イーストウッド監督・主演映画化!





心筋症の悪化により早期引退を余儀なくされた元FBI捜査官テリー・マッケイレブ。心臓移植手術の直後、彼は謎の美女から驚愕の事実を告げられる。悪に対する憤りと使命感に駆り立てられたマッケイレブは再び捜査に乗り出すが……。
内容(「BOOK」データベースより)



わたしのフェイパリッツ作品の中の間違いなく一作。
マイクル・コナリーの描く男は、いつも過去の苦悩と現在の愛の狭間にいる。




もしハードボイルド、刑事モノ、アクション、サスペンス~昭和の人間がかつて映画でワクワクした気持ちをもう一度味わいたい。しかしー翻訳モノはどうも苦手と思われる方も、、まずは騙されたと思い、この一冊。または著者であるマイクル・コナリーのボッシュシリーズを…できれば一作目からの『ナイト・ホークス』を手にとってほしい。きっと多くの人に、至福の時間が約束されると思う。




ー長年にわたる激務とストレスで、心筋症の悪化により引退したFBI捜査官マッケイレブ。彼は、心臓移植手術を受け、いまは安静も兼ねて静かにお気にりの船の上で暮らしてる。



そんな折、彼の元へ1人の女性が尋ねてくる。



「私の妹を殺した男を探して下さい」と。



彼は、その女性をむろん知らない。だがー彼女は彼を知っている。そして、、、女性は続けて驚愕の言葉を発する。



「あなたの移植された心臓は、コンビニで強盗に殺された私の妹の心臓です。妹が、あなたの命を救ったの」と。



えっスゴイ、、、!!



こんなプロットを読み薦めた時、そこに身悶えするかの様な面白さと、これから始まるだろう怒涛の展開に胸を躍らせた読者はきっとわたしだけではないと思う。



これこそ、あの屈指の現代を代表するアメリカの作家マイクル・コナリー、これが「わが心臓の痛み」なのです。



自らのいま動く心臓は、殺人事件で亡くなった不慮の死を遂げた女性のもの。目の前にいる女性は、その姉。



「己は、殺人で奪われたその女性、その心臓で生きている。生きてしまった。」




ああ、元刑事として、何という苦悩、何というカタルシスでしょう・・。




そしてーマッケイレブはその姉とこころ通わせ、いつしか愛情をもつようになる。そして、その姉の為に一度は引退した身でありながる病身の身でありながら、その強盗殺人犯を二転、三転しながら追いつめていく。それは自らの心臓で生き続けている「その殺された妹」のためでもある。




最初に、これを数ページ読んただけで胸に去来する、すでに「やられた感」は・・・たまらない。




それは、わたしが感じる好きな作家や話題の「海外ミステリー(エンタメ、または面白本)」の一ページ、一ページをめくる時の最高のひとときの時間につながっていく。




もちろん、日本の作家さん達も読むし、感銘や感動、唸るような作品に出会えることも多い。



ただー「国内本」か「海外本」どちらがお気に入りか?と単純に聞かれたらやっぱり間違いなく「海外ミステリー&エンタメ本」だと答えてしまうと思う自分がいるのも確かです。



何故、海外ミステリー&エンタメ」が好きなのか



理由は、挙げてみれば幾つかあるのですが、個人的な好み前提で書かせて戴くと、それは3つ!



〇 そのⅠ 「そのスケール感、緻密さ 人物達の個性」




昔からそういう事は、しばしあるのだけれど・・・いまでも、「洋画」や欧米の「海外ドラマ」の、そのお金のかけ方には度肝を抜かれることがしばしば。



巨大なスケール感と緻密な構成。脇役に至るまでの俳優層の厚さなどに「やっぱり、敵わない(かなわないなあ)」と両手を広げて完敗してしまう気分になることがあります。充実した海外面白本を読み終えた時なども、正しくそんな気持ちになってしまう。



邦画や日本のドラマにも昔から優れた物はいくつもある。私は寅さんも大好きだし高峰秀子も好き。とくにに戦中戦後の日本映画の凄まじさや、日本の選りすぐりの名作やドラマをCSやDVDで観ては喜んでいます。




-けれどもその反面、70年代、80年代~2000年代、映画は明らかに「洋高法低」だった気も。わたしも青春期、大人になり、そして現代に至るまで、圧倒的に劇場で観るのは「洋画」派。



90年代海外ドラマ「ER」などがBSで見れるようになれば、これまた、これが「ドラマか!?」と思える程の緊迫感に息つく暇もない臨場感。2000年以降「24」「プリズン・ブレイク」「デスパレードな妻たち」「CSI」など挙げればキリがない程に海外ドラマの旺盛。



周りでも、いつしか、そんな海外ドラマの話題が、友達の間でも職場でも普通に聞こえるようになってゆき…。



ここ数年、日本ドラマは、どうしてもその大手の事務所ありきで、そこのタレントが主役となってしまうのも関係してか?昨今はどこをひねっても同じタレントが、毎回どこかで出演している。次のクールはまた違う局で、そのタレントといった具合で、個人的には民放のドラマには、ほとんど興味が薄れてしまってるのも事実。



映画は、邦画が上向いてきたかと言っても、そのほとんどがアニメとまたは少女漫画の映画化か、アニメを実写化するといった作品が占めている。(個人的にはほとんど意味のないことなのに?何故わざわざといった感じだ)そんな理由もありなかなかスクリーンで邦画を観る気がおきないのがここ数年、自分自身正直なところなのです。




しかしーそれは洋画も一緒。ここ数年はCGの過剰な使用で作品の価値をより下げているような多量生産。ほんとうに観たい商品はシネコンなどではかからず、小劇場でしか観れなくなってしまった。でも、そんな声が欧米でも多くなってきたということで「スター・ウォーズ フォースの覚醒」は、CG多様を抑え、原点回帰に戻ったようだった。



平成ルーカス三部作には、"CG TOO MUCH;"感がありどうしても乗り切れなかった私だが、今作は大いに楽しんだ。(ハン・ソロに再び出会えた喜び。何も考えないで心底楽しめるアメ・コミ的エンターティメントだけが存在したからだと思います)




そういった経緯もあり「海外ミステリー・エンタメ本」には、私たちがかつてスクリーンや、そして「海外ドラマ」などで、ワクワク・ドキドキする要素が存分に含まれている気がするのです。それを味わえるのがとってもたまらなく嬉しい。




〇 そして、理由 そのⅡ 「どんな場合でも、その娯楽、エンタメ性」



昨今の日本の小説、またはミステリー、刑事モノなどを読むとその出来、不出来に関係なく、しばし気分が落ち込んでくることもたびたび。





これは、現在の「日本の社会」がそうなのだから、仕方ないのだけれど、、、中身が大抵といっていいほど、病気、介護、虐待、貧困、不倫、イジメ、離婚、失業、などなど。ともかく暗い内容が多く、逆に「明るい」小説を探すのが大変なくらいだと、この間も本好きの知人と話したほど。




ただでさえ、それぞれが何かを背負って毎日生きている。そういう小説を読みリアルに感じ、勇気が湧くこともあるのにはあります。しかし余計に「日本」の現実が分かるだけに、なんだか辛くなってしまう事もたびたび。



日本の警察小説など読んでも「何とも暗澹たる気持ちになる」時が多い。暗くて、ジメッとしていて、いまどきの事件などを反映してるのもあるのか、日本において「本格的であり、エンタメ要素」もある小説を書くのは背景的に非常に難しいのかな?と思ったりしてしまいます。




そして-海外ミステリーやエンタメを読むと、間違いなく、それは日本以上に、残酷だったり、むごかったり、恐ろしかったりするのですが・・(何しろ、平気で、ドンパチやるわ、薬はやるわマフィアはいるわ、殺人は何件も起きるやら)




ところが、、、これが、やっぱり、「海外」というだけで、どこか遠近感というのか。それはよその国の事だから、離れた微妙な距離感で小説を楽しむ事が出来るから不思議。




FBI やCIAといったって、日本にそんなものはないので実感は湧かない。けれど興味は至極そそられ、それこそ「洋画」や「海外ドラマ」を見るのと同じ感覚なのでしょうね 




しかも、海外小説の刑事たちは、欧米だけでなく最近の北欧のミステリーもそうだけれど、それぞれがハンパなく、超ド級のトラウマを抱えている。



みずからの生い立ちだったり、事件で思わぬ人を巻き込んでしまったとか、。ハンディ・キャップを背負っていたり・・



または家族と上手くいってなかったり、愛する女性がいても心を開くことが出来ずにいたり・・・読者は、そういう主人公の想像もつかないトラウマを一緒に共有しながら事件を見守り、解決していくという、まさに、「エンターティメント」として楽しめてしまうわけです。



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そんな海外ミステリーの最近の代表とも言える面白エンタメ・ミステリー本。それがデンマークの警察小説「特捜部Q」と言えるでしょう。



日本で人気北欧ミステリー幕開けともなった「ミレニアム」と同じく、とにかく、一冊読んだら止まらない。毎回とんでもなくへヴィな事件に巻き込まれるのに主人公を含むキャラ達がみんな癖があり、ユーモアあり見せ場あり。シリーズ、現在出版中の六作目までハズレなし!





個人的に「その女アレックス」や同作者の「悲しみのイレーヌ」のようなあまりに読んでて、目を背けたくなる様な描写ばかりが、なんども出てきて残虐性が強すぎ、サイコが行きすぎた作品だけは個人的には好みではないのですが、ほとんど海外ミステリーは、どこか救いがあり、そしてその事件の根底に何かしら奥深い「謎」や「心の痛み」が隠されている。その辺りも、絶妙な味わい深さがあります。



〇 そして、最後。 そのⅢ 「海外に行った気になるお得感」





これはもう、世界の風景や背景はもちろん! 食べ物から着る物。その国の抱えている問題から、オール興味深く知ることが出来る。まるで海外旅行に何回も行った気分。





欧米だけでなく、今や北欧からも入ってくる「面白エンタメ本」は、ためになるし違う世界を覗ける懸け橋になってます。



わが心臓の痛み



そんなこともあり、この本は、わたしの海外夢中度をさらにあげてくれた一冊の代表格。



大好きなイーストウッドが映画化したのだけれど、劇場未公開。



(この記事を書いた数年後に見る機会に恵まれた。出来は、、2時間という尺では難しかったのか、小説のような緊迫感は感じられなかった。お歳は召していたけれど、枯れつつある刑事、クリントの配役は悪くなかったと思いますよ)



頭の中でクリントが苦味走った顔で翻弄する姿を想像すると、少々、原作より歳を重ねていてもピッタリだった。




コナリーの作品は、このマッケイレブ刑事とは違うけれどー大人気ボッシュ刑事・シリーズの一作「ナイト・ホークス」から読む事をまずはお奨めしたいですね。孤高の刑事ボッシュシリーズには、このマッケイレブも登場します。これだからシリーズモノは止まらない。



海外小説が苦手な人でも、内容で、ガツッと勝負してたあのころの洋画を観てる気持ちにきっとさせてくれるはずです!



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