雑誌「ミュージックライフ」1972年12月号から見る洋楽ファン歴史あの時代この時代
60年代から70年代~現在へ…いま洋楽はスッカリ少数派といわれ…いえ、いつの時代もかならずクラスの端っこで、それはそれはアツく一部の仲間と洋楽話に花を咲かせた"洋楽派。こよなく洋楽を愛する若者のいつも隣にいてくれたのが音楽雑誌「ミュージック・ライフ」

1972年12月号「ミュージックライフ」 表紙は当時グラムロック人気が爆発したT.REXのマーク・ボラン。マークは数年後ー29歳の若さで急逝。ボウイ、アリス・クーパーにも影響を及ぼし、いまもーグラム・ロックの再評価は続いている。
ということでー72年「ミュージック・ライフ」を紐解いてみましょう。
洋楽雑誌の老舗といえば「ミュージック・ライフ」…ブログでも過去BCRについての記事→「ありがとうレスリー!70年代洋楽」の中でチラリと洋楽雑誌について綴ったことも。
わたしがMLをボチボチと購入したのが洋楽にハマり出した79年。本格的に毎月発売日に本屋に飛んでいき買い続けるのが日課になったのが80年。
個人的に抱くーMLの歴史といえば、、
■60年代=ミーハー&洋楽黎明期
■70年代前半=硬派
■70年代半ば~85年
ロック主だけどミーハーと幅広い
■85年~休刊 ほぼメタル/HR系
大まかにいえばこんなイメージだった。

72年巻頭カラーを飾るのはーグランド・ファンク・レイルロード。友だちの従妹がグランド・ファンクの熱烈ファンで日夜ステレオでかけまくっていたそう!
当時ーわたしのような十代が読んでいた洋楽雑誌筆頭がML、さらにグラビア主体、アイドル系やビジュアル系という洋楽大スキ女子向けに発行されていたのが「ROCK SHOW」あたりだ。

73年若き日のデヴィッド・ボウイ。ー♪スターダストをリリースし大ヒット。スター街道爆心中だった。
あと~70年代の洋楽誌で忘れてはいけないのがー甲斐バンドの甲斐よしひろ(敬略)が同棲していた相手であり恋人としてちまたではかなり有名だった高○○〇〇さんが編集長を務めていた「JAMジャム」という月刊誌。
コレがいまでいうーちょっと進んだアングラ的ノリからポール・マッカートニーまで幅広く取り上げてくれていた希少誌。アメリカ某社と契約を結んでいるらしく最新フォト、情報などが掲載。買った日には隈なく読みあさり~小さな町の本屋には置いてある雑誌ではなかったので、、大きな老舗の本屋に行った際には立ち読み必至!

ムーディー・ブルースも人気。プログレッシブ・ロックの支持率の高さが伺える。
ミュージック・ライフに話を戻すとー休刊するまで色濃く特色を変えていったのですよね。わたしが本格的に購入し出した80年は洋楽市場が幅広く、、クイーンやアイアン・メイデンあたりのロック系が主、その矢先に英国から次々出現したジャパン、カルチャー・クラブ、デュラン・デュラン~ワムと80年代はページをめくるのも忙しいくらい混在。売り上げもいちばんあった時期ではと思う。
ところで72年ー!!読者の人気投票結果が!!ジャ、ジャーン!!

1位はエマーソン・レイク&パーマー!!2位ストーンズ、3位ツェッペリン、4位シカゴ、5位T.REX、6位ディープ・パープルとハード・ロック系が続くなか大好きなビー・ジーズも9位と大検討! こうして見るとーいまでも圧倒的知名度と人気を保っている歴史的グループばかりだ。

エマーソン・レイク&パーマーはプログレ代表格。この年ー後楽園球場と阪神甲子園球場で屋外コンサートも開き大成功。1位受賞お祝いでトロフィー授与。ミュージック・ライフの伝統。日本の映画雑誌でも海外スターに人気No.1贈呈として記念品を渡していたっけ。相手は大スターなのに心底ウレシそうで微笑ましい交流がまたステキだった。
ほかにもこの号には、ジョン&ヨーコ直撃インタビュー、ニール・ヤング取材、72年音楽総括などが綴られている。ベスト投票では邦楽部門もあり、グループではガロが1位、5位にはっぴいえんど。ソロ1位では断然に吉田拓郎。
さてML一大革命といったら85年辺りからの空前人気HM/HR。欧米とココ日本でもムーブを巻き起こし中身がほぼメタル一色に。大きさもそれまでの型番からひとまわり大きくなり「BURRN!」と変わらなくなった。
ボン・ジョヴィとガンズの登場はほんと大きかった!彼らを筆頭にホワイト・スネイク、スキッド・ロウ、ポイズン、モトリー・クルー、ハノイ・ロックス、ヨーロッパ~バッド・イングリッシュとベテランから新人バンドまで全米TOP40など半分以上メタル系に埋め尽くされてしまった数年間。
先日の統計でー海外のZ世代がいまもっとも聴く“クラシック・ロック“がガンズとボン・ジョヴィというのを知りオドロイタ!!!
「えっ、ガンズなんてつい最近ではないのー!!?」30年前が昨日に思える時間感覚…これこそ若い人からしたらズレているってことですねwゞ(笑)
メタル時代ーMLはときに購入していたけれどー洋楽全般の情報を得るのはムリだとアキらめた。FM雑誌や取り上げるジャンルが幅広過ぎたためすぐ廃刊になった洋楽誌「ポップ・ギア」などへ購買力も移動。
ちなみにー72年読者が選ぶギタリスト部門トップ10もご紹介、、、!!

ー圧倒的に強いのがクラプトン。強い! 2位ジミー・ペイジ。3位ジョージ・ハリスンというのは超絶テクニックというより(ジョーゴメンね)ビートルズ解散以降ソロでの活躍ぶり、ビートルズ人気がまだ俄然として強かったことも加味されていると思う。
4位にリッチー・ブラックモアがちゃんと顔を出し、ジェフ・ベックが7位! 事故からカムバックした71年第二期JBGーしかし空中分解。
ココでーついでに10年後ー80'年MLベスト・ギタリスト部門も!

80年! 1位ブライアン・メイ。テクニックもだけれどクイーン人気がとにかくスゴイ時期だった。2位人気過熱のリッチー・ブラックモア。リッチー人気はML代の名詞だったなあ。

3位にジェフ・ベックがキター!!! 4位にはわたしが80年代初期にハマってクレイジーと化したマイケル・シェンカー様~6位にキッスのエース、8位ポール・スタンレーがランクインというのもウレシイではありませんか!
考えてみればー星加ルミ子さんが編集長時代だった「ミュージック・ライフ」は日本における洋楽ポップス・ロックスの黎明期時代を彩ってきた雑誌。右も左も分からない星加さんの奮闘ブリが勇ましくもありカワイイ。60年代の洋楽アーティストたちとの交渉、接触などいまより遥かお金もかかるのに情熱と時間、労力を惜しまなかった。いまとなっては貴重な洋楽資料として歴史的にもすばらしい!

所有本「星加ルミ子のミュージック・ライフ/ビートルズにいちばん近い記者」星加さん自身が書いた本ではなく星加さんを徹底的に取材した彼女の伝記というような趣。ちかく…星加さんの取材力を当時のMLの記事とともに綴りたいなと。
ただー星加さん自身も語っていたことだけれど「MLは内容がミーハー」だとお叱りを受けることも只あったとか。洋楽ファン間でもアーティストをアイドル扱いする記事にカリカリするとの声も。それでも当時ーMLは日本で唯一で最大の洋楽ツールであり憧れだったことも、のちに洋楽編集者など音楽関係についた人たちは認めている。
ご紹介した72年はML歴史の中でも、もっとも地味、ミーハー記事もない。想像するとー女性読者はほとんど皆無だった時期なのではないかと思う。
そこには60年代サイケデリックもなければ70年代ド真ん中にあったキラキラも皆無。不思議な表現だが"色"がない。ひたすら音楽そのもの。

英国バンドではキンクスが好きだという人も多かった!
70年代前半の空気、時代背景なのかー。洋楽に対する日本人の価値観がグッと大人になってきた時期。学生運動も終えベトナムも続きー娯楽として音楽を聴いてきた若者たちがちょっと大人の階段をのぼりはじめたころ。アイドルがいなかったことも大きい。60年代活躍したミュージシャンたちも20代から30代にさしかかってきた。当たり前のように長髪が定着し夢に見た大物アーティストたちもこぞって来日するように。あきらかに洋楽事情は変化していった。

72年若者ファッション。いまでは若い子からご老人までみーんなこんなラフなスタイルがごくフツーに。
たった5年前ービートルズ来日であれだけ大騒ぎしたロックやギターサウンドが日本でも当たり前のように(それでも洋楽派はクラスの隅っこだったでしょうが)浸透しちゃった。そんな時代です~。
洋楽、ML、ジェフ・ベックありがとう。「全国の洋楽スキの扉を開いてくれたのがビートルズ来日だった」と語っていた鮎川さんありがとう!!
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