映画「Hair 」ヘアー 不滅のラブ・ロックミュージカル!いまだからこそ蘇る名曲サンシャイン!

m-pon5

P1070205.jpg

「Hair」ヘアー 1979年製作/アメリカ 原題:Hair


ベトナム戦争真只中の60年代を背景に、田舎からニューヨークにやって来た1人の若者とヒッピーたちの交流を中心に、愛と平和と人間性の回復を謳いあげたブロードウェイのヒット・ミュージカルの映画化。監督は「カッコーの巣の上で」のミロシュ・フォアマン、脚本はマイケル・ウェラー、作詞はジェローム・ラグニとジェームズ・ラドー担当。出演ジョン・サヴェージ、トリート・ウィリアムズ、ビヴァリー・ダンジェロ、アニー・ゴールデンほか。

ゴールデン・グローブ賞ノミネート 
AFI歴代主題歌100...「Hair」挿入曲「アクエリアス」 – 33位



ベトナムへ行く前に残されたわずかな時間を楽しもうとN・Yにやってきたクロードが出会ったのは自由奔放なヒッピーたち。「生きているのだもの、笑いもするさ」ーピュアな心情を高らかに謳う彼らから、本当に大切なものをクロードは感じはじめる…。当時世界のヒットチャートの上位を占め、今もなお新鮮なメロディが作品を彩る。



P1070063.jpg
「Hair」で描かれるメッセージ性はいまもって新鮮!


ここ最近ー数々のロック伝記映画、ミュージカル映画が世界中、日本でも大人気。どれもが人をノスタルジーに導く音楽性と今風なスタイリッシュを持ち合わせ、不思議な華やかさとヴィヴィッドさに溢れている。曲の良さも相成って活力、根底に流れる"愛"というシンプルなメッセージが大勢の人に届くからだろう。


それらを兼ね備えた象徴的な作品が79年にも生まれていた。


ロック・ミュージカル映画「Hair」ヘアー!


P1070220.jpg
今週末から午前十時の映画祭でも上映される作品。一足早くBlu-rayで鑑賞!


ベトナム戦争に反対するヒッピーたちの物語。けれどー作品が公開されたのはベトナム勃発から十年以上経過し終戦後。元々69年に大成功を収めたブロードウェイミュージカル。映画化までには紆余曲折。監督が『カッコーの巣の上で』のミロス・フォアマンに決定してからも製作に4年の歳月。


そのせいかー正直「Hair」にはキリキリした切迫感というものはない。


コレがベトナム戦争真っ只中だったら、よりシリアス、差し迫ったものになっていたと思う。監督がチェコから亡命してきたミロシュ・フォアマンというのも大きい。寡作な監督で『カッコーの巣の上で』『アマデウス』『恋の掟』などどれもが強烈な反体制を促す反面、シニカルで奇妙に冷めた視線ももっていた。


アメリカ映画なのにアメリカ・ナイズしていない。人物のクローズ・アップも多ければ、ヨーロッパ監督がアメリカ映画を撮るときによくやるような、場違いなほどゴージャスな場面が演出されたりする。


P1070235 (2)
映画タイトル曲「Hair」長髪を切れという風潮に抗う反体制の曲。カウシルズの曲は全米2位まで上昇の大ヒット曲。


「ヘアー」は上にあげた理由からかー舞台がベトナム徴兵制度真っ只中のやるせなさ、反骨で埋め尽くされているものの、70年後半独自の浮かれたシラケ世代の若者的浮遊感もミックスされている。その辺りがユニーク。なんとも独得のミュージカル大作なのだ。


公開時もゴールデン・グローブにノミネートされるなど好評だったが、いま見るとーかえって「現代」2023年の側面と直結していることに驚愕!! 世界がいま抱える問題とあまりに似ていやしないかと。戦争、格差、人種、性マイノリティ、政治への不平と不満、平和、冷めた目と熱い目、、交錯する若者。


P1070041.jpg
冒頭曲はあまりに有名。69年全米NO1ヒット「アクエリアス」からスタート!


ー映画化にあたりブロードウェイの骨組そのままに内容や人物は要所に変更。ほぼ変わらないのは全編に流れるヒット曲、名曲たち。


ー多様性が現在のフィーリングにピッタリ!50年流れても変わらない。みな「愛」に飢えている。ラブ・ソングはもちろん、悩み憤りを代弁してくれるような強烈なメッセージ性のある音楽に人々が惹かれる事実。結局いつの世も「ラブ&ピース」…「ヘアー」の代表曲「サンシャイン」そのもの。


映画内では数多くのヒット曲が歌われ役者たちのダンス・シーンが散りばめられる。ワンシーンごと映像とフィットしているためにミュージカルというよりMTVロック舞台劇のよう。いまの若い人が見てもセリフから音楽への違和感は感じないハズ。


P1070039.jpg
ストーリーは単純だ。オクラホマ出身クロードはベトナム陸軍に徴兵されニューヨークへやってきた。不安と緊張の中、つかのまの休息を…とセントラル・パークを歩いていると、彼は多くのヒッピーたちに遭遇する。


P1070046.jpg
中でもバーガー率いる4人組たちは自由奔放だった。黒人のハット、相手がだれか分からない子を妊娠中のジーニー、金髪ヘアーが自慢のウーフ。


そんなとき公園を乗馬で楽しむ女性たちに遭遇する。彼女たちはニュージャージー州ヒルズの高級住宅街に住みグルーブだ。クロードは、その中にいた"シーラ"という美しい女性に心奪われる。パーカーらの計らいもあり、馬で掛け合った二人は互いを意識しながら別れてしまう。


クロードはその夜ー彼らとはじめてマリファナを体験。人種や階級の問題でも皆が苦しめられているのを知る。ごくフツウの田舎町に育った彼にはすべてがショックだった。


翌日、シーラの高級宅でパーティーがあると知ったバーガーたち。みなで勝手にその場に潜入してしまう。


P1070224.jpg
場違いなことを注意されても反抗するバーガー!「シーラを好きな男がココにいるんだ」 彼はテーブルの上で歌い踊り混乱させる。映画中盤のクライマックスシーン。


P1070219.jpg
そんな彼らの自由な姿にシーラはたまらなく惹かれ共感してしまう。


P1070226.jpg
だがー結局彼らは取り押さえられ禁固刑に。バーガーは親に罵倒されながらお金を借り、釈放にこぎつける。


P1070143.jpg
禁固された金髪のウーフが髪の毛を切ることに抵抗し歌うのが代表曲のひとつ「ヘアー」! ウーフを演じているのはドン・ダカスというミュージシャン。なんとシカゴやバッド・フィンガーのメンバーでもあったというからビックリ! キレイな容姿だー。


P1070147.jpg
囚人たちが歌い踊る場面はプレスリー「監獄ロック」を思い出させる。


そのころーセントラルパークでは大規模な平和集会が行われ、現れたのがシーラだった。彼女もまた抑圧された生活に疑問を抱いていた。そしてーシーラもクロードを好きになり始めていた。だから彼のベトナム行きを阻止したかった。


クロードは、、というとベトナムに行くべきか揺れていた。父が「名誉」のために送りだしてくれたこと、戦争反対の仲間たち、上流のシーラ、、自分が本来求めているのはなんなのか、、、幻想の世界でクロードの心情はゆらめく。


P1070246.jpg
だが♪"Where Do I Go?" 悩んだ挙句…クロードのこころは揺るぎようもなかった。最終的に゛ベトナム兵"としてネバダ州へと送られる。クロード演じるのは映画ファンならおなじみのジョン・サベージ。『ディア・ハンター』がなんといっても忘れらない俳優だ。ルックスを見るだけでマジメな堅実さが伝わってくる。


クロードはニューヨークのバーガーたちに手紙を書いた。届いた手紙を読み喜ぶ彼らは、愛し合うシーラとネバダの駐屯地にいるクロードを一目だけでも会わせたいと思いつく。彼らは車を飛ばしネバダまで行くことにした。


P1070260.jpg
この辺りからー別の映画になったかのようにシリアスモードに。兵士になることの痛々しさ、虚無感がいままでの明るさを不安で覆ってしまうように。


しかしーヒッピーの彼らが駐屯地にいるクロードにそのまま会えるワケがない。バーガーたちはあることを思いついた。シーラがひとりの将校を車で砂漠までおびきだし、性的な誘いで男の軍服を脱がせること…。


P1070263.jpg
そしてー将校が着用していた服だけを持ち出し、それをヒッピーのバーガーが着用。軍にいるクロードと数時間だけ入れ替わるというものだ。


太い眉毛が印象的なヒッピーのバーガー役を演じ当時"明日のスター"に選ばれたのはトリート・ウィリアムス。注目株でそのあと『プリンス・オヴ・シティ』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』にも主演。覚えている人も多いハズ。そのあとは伸び悩んだがいまも俳優としてステキに歳を重ねている。


P1070268.jpg
バーガーと駐屯地で再会したクロード。バーガーと数時間入れ替わったクロードはシーラと幸せなひとときを過ごすことができた…。


だがー基地ではとんでもないことが起こっていた!


P1070269.jpg
入れ替わった数時間の間、、、クロードに入れ替わっていたバーガーになんとベトナムに出兵命令が下されてしまったのだ!


P1070291.jpg
それを知り慌てて基地に引き返すクロード 「バーガー!!」


思いもよらない結末。呆気なさに驚くと同時にココに監督の「皮肉さ」さえ見え隠れする。戦争問はず「死」というものは呆気ないもの。一瞬先は分からない。だからこそーいまの時間、この瞬間を精一杯に生きていこうと。


P1070297.jpg
ラスト、、映画の主体にもなっている"Let the Sunshine In"がワシントンD・Cをバックに流れる、、、50年近く経過したいまでも訴えかけてくるものがある。おなじくーちっとも昔のことに思えない恐怖。


似たようなシーンをすこし前にもニュースで見た気がする。94年の映画『フォレスト・ガンプ』の一場面、おなじワシントンD・C、平和を訴える群衆シーンが映ったときー60年代は遥か遠くのことに思えた光景だったのに、、、


「平和」を掲げなくてもよいフツウの日々が世界にはいつ訪れるのでしょう。


HAIR (1979) | Official Trailer | MGM Studios aquarius/ アクエリアス


…時代は回り回ってくる。俯瞰して見ると良い部分もそうでない部分もいっそう大きな意味をもつミュージカル作品、それが「Hair」ヘアーなのだ。 文字だけでは決して伝わらない歌の迫力、躍動感、ぜひご覧になってみてください。









関連記事

Comments 2

There are no comments yet.
ギターマジシャン  
ロックミュージカル

これまた、本編を見たことはない作品ですが、ロックのミュージカルと言うと「ジーザス・クライスト・スーパースター」が話題になりましたし、この「ヘアー」はさらにロック好きの同級生で盛り上がりましたが、意味深なタイトルもあって、何となく映画館へ行くのは恥ずかしいような感覚でした。
(「ロッキー・ホラー・ショー」は、もっとでしたし・・・)

幼い頃に見た「オリバー」もそうでしたが、ミュージカル作品が映画化されると、ついつい映画のキャストが印象的になってしまい、本場のミュージカルであっても、劇団四季がやっている翻案ものと同じように感じてしまう自分です。

2023/01/15 (Sun) 08:51 | EDIT | REPLY |   
m-pon5
m-pon5  
>ロック・ミュージカル

>ギターマジシャンさん

こんばんは♪
コメントありがとうございます

ワアー!「ヘアー」ギターマジシャンさんの周りのロックスキ青年の間でも盛り上がっていたのですね
ありましたねー「ジーザス・クライスト・スーパースター」あとフーのアルバムを舞台、映像化した「トミー」なんていうロック・ミュージカルも話題になって^_^どれもエネルギーがスゴカった時代ですね

当時「ヘアー」を見た評論家のレビューで覚えているのが「アツいのに、どこか冷めて見えるのはベトナムがもう遠くなったってことかなあ」なんて書いていたこと。すでに79年公開だったからでしょうかね!?
…その俯瞰的なモダン感覚が、、時代が巡るといいましょうか「ヘアー」いま新鮮さを感じました。
音楽映画がいまの若い人にウケているというのもウレシイですよね。多くの人に見ていただきたいです^^

2023/01/15 (Sun) 19:13 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply