世界の果てのこどもたち 中脇初枝 平和であることの幸せ

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戦時中、高知県から親に連れられて満洲にやってきた珠子は
朝鮮人の美子と、恵まれた家庭で育った茉莉と出会う。
お互いが何人なのかも知らなかった幼い三人は
あることをきっかけに友情で結ばれる。
しかし終戦が訪れ、運命は三人を引きはなしてしまう。
戦後の日本と中国で、三人は別々の人生を歩むことになった、
戦時中の満洲で出会った、三人の物語。
内容(「BOOK」データベースより)


私は、本が大好きであり、図書館や本屋さんは大好きな場所だ。
車で、地元から近くにある
幾つかの図書館や図書室を回るのが楽しい。

そこで、とてもフレンドリーで素敵な小さな図書室の方と
色々、本のお話などするのがまた嬉しい。

大きな図書館ではとても無理だが、
小さな図書室は高齢の方たちや
お子様を持つママさんたちも気軽に寄れる憩いの場となっている。

図書館もそれぞれ。
様々な個性があり、その場所場所でのニーズに答えて戴ければ
本好きにはそれこそ有難い。

選んで通えるのは、借り手の自由なのだから
置いてある本の傾向、図書の雰囲気もそれぞれで
私はそれらの特色を使い分け、利用させて戴いてます。

その、フレンドリーな図書室の方が、この本を、昨年大変、絶賛されていて
「私たちの時代って、こういう本を読むと、つくづく幸せなんだなあって
考えさせられます」とおっしゃっていた。

世界の果てのこどもたち」 だ。
それから、ずっと読みたいと思っていたのだ。
その評判通り、今年の本屋大賞にも受賞こそ逃したが
ノミネートされていて絶賛の声が大きった。

オバマ大統領の広島訪問。
様々な思いが溢れて、戦争を体験した方々は勿論、
私達のような戦後生まれも、あの時代、あの頃、
どんな毎日を人々は過ごし
また子供たちは、どんな境遇にいたのだろうと
思い返せばずっと考えてきたように思う。

今まで、色々なそれに関する本、資料、決して完全とは言えない
私達が受けた教育の中で、
テレビで、ドラマで私達はそれらを知り、感じてきた。

けれど、それでも決して十分ではない「真実を知るのは」
体験していない我々にとっては、
そこからもはや想像するしか出来ない。

この本は、戦時中、満州に様々な理由で、
やって来て家族で住むことになった
3人の少女たちのその出会い。

子供ならではの小さな冒険旅行で結ばれた友情。
そして、その後、戦後を迎え、それぞれが離れ離れになり、
それからの3人それぞれの人生が書かれる。

それは、過酷で、そして想像を絶する中で
生きぬくしかなかった少女たちが
大人になってから再会するまでの物語です。

本を読みながら、何度も涙を飲み込んだ。
家族で満州に越してきて、何も知らない中、それでも幸せだった珠子。
朝鮮から、家族で満州に越してこずには生活出来なかった、朝鮮人の美子。
恵まれた裕福な茉莉。

満州では、裏側に何があるのか深く分からないまま
戦争を子供心に感じながら
それでも無邪気だった少女たち。

ところが、あの戦争で、すべてがムチャクチャになる。
満州からの引き上げの時の壮絶さ。
離れ離れになる家族。
朝鮮人というだけで、日本に帰っても差別の中で生きること。
東京大空襲で、多くを失ってしまう子供。

読んでいても、こんな恐ろしい事が本当にあったのかと思う。

また戦争が終わってからも、過酷な生活は子供たちに決して
すぐの幸せは与えようにも、与えることが出来なかった世の中。

私達は、今、中国や韓国と様々な物事を抱えている。
被害者でもあり、加害者でもある戦争。

ただ、この作品を読むと、何故、私達はこのような
アジア諸国と微妙な関係になってしまったのか。

何故、満州という国にあの時代、子供達がいたのか、
何故、私たちの国に、70年代、80年代、
チョゴリを着た、あの頃「朝鮮人」と呼ばれていた
朝鮮学校に通っていた女の子たちがいたのか・・・

そして、どうして「中国残留孤児」と呼ばれる人達がいたのか、
という、そのことが、すぅーっと心に入ってくるのだ。

私の青春期、バスや電車で、チョゴリを着た、女の子たちを見ると
皆、何か、ちょっと異質な人達と同じ空間にいる緊張感があったのを覚えている。

今、思うと、私たちと同じように、いや、彼女たちはもっとあの頃、
過去の歴史を受け止め、その中で日本という国で
毅然とした青春を過ごしていたのだろう。
みんな、同じだったのだ。
みんな、同じ、青春を過ごしている、ただの女子だったのだ。

この本を書いた中脇さんは「みんないい子」など
近年、子供に関した問題定義と言える本を出している作家。

私自身は「みんないい子」などを読んだ時、何となく、後味が悪く
好んで読みたいと思える作家さんではないのかなと思っていた。

だが、今回は、作者の渾身の思いが伝わる、力作本だった。
最後に、参考資料が何冊か記載されているが、これだけの物を読み
取材し、作品にするのには充分な時間が必要だったろう。

今、「何故、この本を?」と思ったけれど
「今だからこそ」の思いが強かったのではないだろうか。

山崎豊子さんの代表作であり、これまた彼女の思いの丈を全て託した
大地の子」という本は皆さん、ご存じの通りだけれど
あの本を読むには子供にはちょっと難しいと思われている方でも
この本は日常で本を読みなれている子供なら、小学校高学年からでも
読むことが可能だと思う。
実際、この本は、図書館でも「児童書」のジャンルに置かれているところがあります。

つくづく、戦争なんかしても何の意味もない。
何のいいこともない。
この本を読んで、ただ、ただ、そう思った。
この本を読み終えた時、ジーンと迫る温かさ。
それは平和である(世界では未だに悲しい現実が起こり
この先は誰にでも分からないけれど)今に感謝出来るからこそなのだ。

平和であり続けることを願わずにはいられません。
ささやかな日常も平和だからこそなのですね。

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