「セント・エルモス・ファイアー」80's世代に絶大な影響を与えた青春映画のバイブル!

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『セント・エルモス・ファイアー』1985年製作/108分/アメリカ


大学を卒業した仲間7人の挫折、苦悩、恋の行方を描いた80年代を代表する群像青春劇。


何十年ぶりかに見直した。「わーナツカシイ!」…80年代の華やかさ、ノスタルジックへ一気に引き戻されてしまった。


行く先のない恋、漠然とした未来への不安、大小の荷物を抱えながら、週末になると友人たちと喫茶店、ファミレスに集まりワイワイ朝まで喋っていた日々。自身もー「"セント・エルモス・バー"に集う主人公たちとおなじだった!」…忘却の彼方に忘れ去られそうだった情景と時間がスクリーンに映っている。


~と同時になんとも言えない気恥ずかしさが…(笑) 22歳なりの未熟さ。大人ぶっても危なかしくて子供っぽい。時がすぎると彼らのいい加減さは赤面モノ。けれどーひっくるめて完璧ではないのが青春時代。誰しもに平等にあった若いとき、二度と戻らない憂いの日々。それが映画『セント・エルモス・ファイアー』


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作品がそれ以後の日本のテレビドラマに与えた影響は、はかり知れない。モチーフとして制作されたドラマ「愛という名のもとに」主題歌、浜田省吾「悲しみは雪のように」もクロスして聴こえてきそう。


70年代前半の鬱屈した社会に怒る若者とも違って、揚々とした時代だったからこそ反対側にある倦怠感が浮きたつ。80年代後半ー青春期を過ごした人々にとって『セントエルモスファイアー』に描かれた和気藹々な世界は憧れであり共感。


"新人類"という言葉も流行ったころ。大人になど理解されなくていい。観終わったあとは同年代の友達同志、恋人たちと、とにかく誰かとこの映画について話したくなったものです。


「出演者の中でダレが良かった!?」 自らを投影し疑似体験しているかのように身近なキャラクターを探したりもした。


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出演者は当時YA(ヤング・アダルト・スター) 、ブラット・パック世代と呼ばれた若手人気俳優たち。男性陣はロヴ・ロウ、ジャド・ネルソン、アンドリュー・マッカーシー、エミリオ・エステべス。女優陣アリー・シーディー、メア・ウィニンガム、デミ・ムーア。小品に出演しそれまでも注目株だったけれど、この人気作で一気に知名度後アップ!


ジョージタウン大学を卒業し社会に飛び出した7人組。個性も違う、目指す職種も異なるけれど、週末になると決まって集まる場所。学生時代からのお気に入りの店 "セント・エルモス・バー"。現役学生たちに占拠されつつあるバーで彼らは居場所がなくなりそうな古株でもあるのですが…。


リーダー格アレックス(ジャド・ネルソン)と彼の恋人であり同性中のレズリー(アリー・シーディー)  そのレズリーを心密かに愛するのは駆け出しの新聞記者ケビン(アンドリュー・マッカーシー) 孤独なのにイカレテふるまう美人のジュールズ(デミ・ムーア) 既婚者で幼子もいるのに遊んでばかりのプレイボーイでミュージシャンを目指すビリー(ロヴ・ロウ) そんな遊び人ビリーを密かに愛する真面目な社会福祉士ウェンディ(メア・ウィニンガム )  ウエイターとして働きながら法律を目指し、年上の美人医師に片思い中のカービー(エミリオ・エステべス) 7人それぞれの恋の行方、結婚と仕事への葛藤、挫折。


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すぐに結婚したいアレックスと自分のやりたいこともあるし結婚に踏み出せないレズリー。同棲中でも結婚話になるとギクシャク。地位を確保したい男性が女性に求めるもの、結婚に対する認識は現在よりずっと保守的。


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そんな折、アレックスの浮気が発覚。結婚どころか同棲も解消したレズリー。なんとレズリーを一途に思っていたケビンと寝てしまう。


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コレが~魔がワルイことに、、ケビンのアパートにアレックスが来てしまうのですよね~。


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「そうよ。わたしをスキでいてくれたケビンと寝たのよ」ワワッ! ココでドラマ「男女7人ー」石井明美が歌う「CHA−CHA−CHA」チャ、チャ、チャのイントロ、森川由加里「Show me Show me♪」の歌声が流れてきそう~!


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同棲解消。自分の荷物だけ部屋に取りにきたレズリーに「オレのお気に入りのレコードは置いてけ!!」


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別れる恋人同士には「アル、アル~シチュエーション!!」と話題に! とりわけ日本のドラマならサザン「栞のテーマ」がBGM!? 切な~い場面。


全体に2時間がテンポよく進んでいくので飽きさせない軽やかさ。全米NO1になった主題歌ジョン・パーの同タイトル曲、数々の80年代チューンと要所に流れるデビッド・フォスターの美メロディーも絶品!


ただー限られた時間枠。曖昧さは説得力に欠ける部分も多い。個々の人物描写、彼らが絆をどれだけ過去から培ってきたかについてはアバウト。テレビドラマだったらより友情にも切り込めたはず。当時は雰囲気でスルーしてしまったことだけど、脚本として深みに欠けるのは結構重要なマイナスポイント。ステレオタイプな個性も現代では少々古臭く感じられるのも事実。


なんといってもーどうしようもない役だなあと思ったのがロヴ・ロウ(笑)


彼はこのビリー役で最低映画賞ラズベリー主演男優賞を獲得。当時はロブ人気に嫉妬した結果では?と勘ぐったけれど、受賞の理由、いまではよ~く分かりますw


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端正な美形です! 当時ロヴはハンサムの代名詞で大人気。数年後『マスカレード』という主演映画では謎めいた危険なプレイボーイ役をこなし現代のアラン・ドロンと日本で称されたほど。


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この作品では、妻子ある身で飲酒運転、ウインガム演じる心優しきウェンディにお小遣いを貰うわ、仕事も何度もクビになり女とは遊び放題。極めつけなのは、奥さんと離婚した彼はミュージシャンとして独り立ちするためニューヨークへ旅立つのだけれど、、最後の夜「別れのプレゼントとして君のバージンを僕にプレゼントしてくれないか」とウェンディに告白。初体験を奪ってハイ、サヨナラ~~ってヒドイ~~(笑)


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自己中で中二病とも思えるロヴとデミ・ムーア。しかしー危うくて一歩間違った方向へ進みそうなこと、若いときは誰にでもおこりうる紙一重。


大人になって観てみると、案外と共感するキャラはいなかったのだと思いきや、、意外や意外!!


当時ーメンバーの中では「いちばん印象がウスイね」と友人とも話していた、エミリオ・エステべスのエピソードが、じつはーいちばん爽やかで気持ちよく、スッキリしていたこと!


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年上の美人医師(アンディ・マクドゥエル)に片思い一直線。気を惹こうとするも相手にされない。パーティーに招待しても来てくれず。彼は一途な気持ちだけで、彼女がバケーションを過ごしているスキー場にまで車を飛ばす。


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けれどー行ってみるとコテージには彼女だけではなく恋人も一緒だったというーこういうシチュエーションは超恥~ハズカシイ!!


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それでもコテージに一晩泊めてもらい傷心のまま帰る直前。最後の最後、彼女に一瞬キスし、ツーショットも撮ってもらった!それだけでオレは幸せだー!!って気持ちよく引き下がる。


若いとき、大好きな人に勇気を出してぶつかっていった経験、誰にでもあるのでは。望みは100%ナシと分かっていても。思いきりフラれたからこそ区切りがつき相手の幸せを心から願える。いや~歳を重ねると見方も全然違ってくるものですね。


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ロヴ演じるビリーはミュージシャン目指すためN・Yへ。見送るメンバーたち。これからは大人としてそれぞれが夢を目指す。まずは仕事に邁進するのみ! ただーSt・Elmo's Barにはこれからも時々集まろうと誓いあう。


80年代ー「レーガンとサッチャーの恩恵を受けた、もっとも幸せな学生生活を送った若者たち」なんて『セント・エルモス・ファイアー』の青春像を評した辛口の米評論家がいた。


たしかにーいま観ると彼らが悩んでいることは奨学金返済のことでも政治の論争でもない。けれどー間違いなく80年代どこにでも存在した青春が(もしかするといまだって若いときの一番の悩みは恋人だったり明日いかに楽しく生きるか模索すること)颯爽と描かれている。ヒット曲、肩パット、ヘアスタイル、ファッション、恋、失恋、結婚。誰にでもある青春の一ページ。



David Foster - Love Theme from St. Elmo's Fire 『セント・エルモス・ファイアー』デビッド・フォスター愛のテーマと名場面。


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今日もどこかにSt・Elmo's Barに集う若者たちが。きっと彼らの明日に向かう道標の灯をともしてくれていることでしょう。






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Comments 2

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ギターマジシャン  
セント・エルモス・ファイアー

「男女七人夏物語」の元ネタの映画だと言われて、単に主人公が七人というくらいじゃなかと思っていましたが、「愛という名のもとに」はもろでしたね。

本題とはずれてしまいますが、大学から就職、さらに後日談を描くのは、1本の映画だとダイジェストになりがちで、テレビシリーズの方がいろいろ掘り下げられて、その点だと「俺たちの旅路」「ふぞろいの林檎」だったり、「ビバリーヒルズ高校白書・青春白書」は良かったなと思います。

それにしても、バブルもそうですが、あの昭和から平成にかけての時代に青春を送ることができたのは、すごく良い世代だったとつくづく思います。

2022/10/15 (Sat) 20:33 | EDIT | REPLY |   
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m-pon5  
>セントエルモスファイアー

>ギターマジシャンさん

こんにちは♪

「セントエルモスファイアー」あのころ若かった洋画スキの鉄板でしたね~~
「トップガン」とおなじ公開年が85年。その上レンタルの普及でどんどんみんなに浸透していった作品という感じで友人たちとも毎週なにか映画の話題をしていたことがなつかしい思い出です。

ギターマジシャンさんが並べて下さった青春ドラマ!傑作揃いですね。
トレンディドラマとはちょっと違って群像劇だけれど現実的な苦々しさもちゃんと描いていましたね。
おっしゃるとおり、久しぶりに観返したら「セントエルモスー」のメンバーたちもみんなキラキラ輝いていて、いちばん良い世代だったのかも~『トップガン・マーヴェリック』のように「続」を制作し出演者たちが集まったら…とフッと思ったのですが、この場合しないからこそ思い出の一ページに永遠に君臨しているのですよね。コメントありがとうございましたe-446

2022/10/16 (Sun) 18:32 | EDIT | REPLY |   

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