Queen elizabeth ii 1926ー2022 エリザベス女王 真のクイーン

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「THE QUEEN」著者 マシュー・デニソン Matthew Dennison

英国と世界の激動の歴史とともに生きた一世紀。スエズ動乱、フォークランド紛争からEU離脱、新型コロナウイルスなどに加え、王室の存続さえ脅かしたダイアナ元妃の事故死、孫夫婦の王室離脱など、そのすべてを乗り越えてきたエリザベス2世の生涯を描くノンフィクション。



エリザベス女王が逝去されました。


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ちょうどー数か月、英国生まれのノンフィクション作家、マシュー・デニソンが書いた「クイーン」という伝記を読み終えたばかりだったので、まさかの思いでした。


記憶にまだ新しい、今年行われBS放映された「即位70周年記念式典」の模様も目を凝らし、、豪華で品位ある英国流式典の格調の高さ、完璧さにに画面に釘づけに。ひときわ威厳を放つ、式の主役であるエリザベス女王。ひとまわり小さくなられたように思えたけれど、それでも、にこやかな笑みと矍鑠とした姿はそのまま。バルコニーで王室一族と手を振る様子はお元気で100歳を迎える日も近いと思っていた矢先のできごと。


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優しい微笑みはもう見れない。


年齢を考えれば、いつかはと覚悟していたとはいえ、イギリス国民のひとりが涙をこらえ、インタビューで答えていた気持ちと重なって、、。


「カーペットをいきなり引き抜かれた気持ちです。女王は英国の威厳と文化そのものでした。」


エリザベス女王の波乱と品位と使命を貫いた人生。


過去にもブック・オヴ・ザ・イヤーなど数々受賞している、マシュー・デニソンが書いた上の本は各方面から評価を得ているのも納得させられるほどに分厚く読み応えがある一冊。豊富なカラー写真と共に綴られる内容は中立で公平、女王の即位70年の歴史が繊細に書かれている。(※掲載しているフォトは本からのものではありません)


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即位直後のエリザベス女王。25歳。凛とした決意とともに美しい。


誰の味方にも立っていない中立な著者の立場だからこそ、本からは約1世紀にわたる波乱と激動の歴史において生き抜いた一人の女性の決意と確固たる英国への忠誠心が浮かび上がる。不撓不屈のエリザベスが、イギリスを、世界を、支えつづけてきた歴史が事細かく、ときに冷静にあたたかい目線で綴られている。


なんといっても、、わたしが驚いたのは、、、


エリザベス女王は決して、社交好きではなく、話好きな女性ではなったということ。


奥手で、引っ込み思案ともいえたエリザべスが一国の女王となる数奇な運命。


エドワード8世が「冠か恋か」で当時スキャンダルになり、結局は不倫の恋を貫いて王室を去ったとき、次男のジョージが思わぬ形で王位を引き継がつぐことになった経緯は有名。しかし、ジョージ6世誕生となったと瞬間、長女であるエリザベスも必然的に父のあとを継ぎ、のちの「王位」となることが運命的に決定してしまったのだから、ドラマティックというにはあまりにも重い重圧だった少女時代。


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アカデミー賞作品にもなった映画『英国王のスピーチ』 吃音を克服しようとするジョージ6世と彼を支える家族が描かれ、子供時代のエリザべスと次女マーガレットも登場しましたよね。父のお話を楽しそうに聞くエリザベスたち。


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エリザベスのキラキラした好奇心はこのころから。


けれどー1952年2月。父親であるジョージ国王が亡くなったとき、エリザベスは若干25歳。イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、パキスタン、セイロン(現在はスリランカとして知られている) 7つの独立した英連邦諸国の女王に彼女はこの日から君臨。若干20代そこそこの女性が大戦間もなく女王の公務につく、、冷静には信じられないこと。


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けれどーそのときからエリザベスの決意は強固なものだった。英国とともに生き抜く、と。


1947年11月、彼女はギリシャとデンマークの元王子であるハンサムなフィリップ マウントバッテンと結婚。財産もなく、よそ者的な扱いをされたこともあるフィリップ殿下。けれどエリザベスを愛し、常に寄り添い続けた夫妻の忠誠的な絆と愛。それは彼が亡くなるその日まで深く続いて、、。


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フィリップ殿下が亡くなってから、女王の悲しみは癒えることがなかったように思う。約70年間、連れ添った大切な大切な人が側にいない…どれほど辛かったことでしょう。


そしてー長き激動の時代と並行し、世間を騒がせたのが数々の王室スキャンダル。本書でも、もっとも先に読みたくなってしまった部分はやはりココ。


わたしや、たぶん世間がもっとも忘れられない出来事は、チャールズとダイアナ妃の結婚、離婚。


結婚の華やかさと同時に、元ダイアナ妃が不慮の事故に、とニュース速報で流れたときの衝撃はいまも忘れられない。…ウソでしょう、と。!?


逝去から葬儀までの1週間、わたしはショックで軽くウッっぽかった。著名人の死であれほど意図しないものはない。同じ女性として、ファッション、生き方~わたしは友達とよくダイアナ妃について話したものでした。


「マザー・テレサのように人のためだけに尽くすことは到底できそうもない。ダイアナのようにお洒落も恋もし、それでも弱い立場、弱者の人たちのことも決していつも忘れないようにしていきたいね」一庶民のわたしたちにさえ~生き方含め、ダイアナは憧れのアイコン。90年代当時、たしかに世間から批判も浴びたダイアナだったけれど、圧倒的、とくに女性からの支持率は他に類はなかったほど。


彼女の突然の訃報はショック、悲しみも遥かに超え、世界を憤りで覆いつくし、逆に非難を浴び、バッシングを受けたのは王室であり、チャールズ、義理母であるエリザべス。


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本の中でもこれら経緯に関しては淡々と綴られているーエリザベス女王はつねに二人と一定の距離を保ち接しており、夫のフィリップの方にダイアナが正直な気持ちを懇願したことなども。個人的にも感じることだけれど、チャールズの不倫問題も含め、元々結婚してはいけなかった二人だった。趣味も価値観も相成れなかった。のちに女王は、二人の気持ち、とくにチャールズに夫婦関係が上手くいくようアドバイスをおくっていたら、、と後悔したことも只あったとの記述もー。


しかしー考えてみたら、成人した夫婦のことを義理母があれこれ言っても収まるものでもない。エリザベス女王にとって家族のスキャンダルもだけれど、王室としてどうあるべきか、、常に比重を置いてきたのは女王としての責任だった。


次第に時も流れ、2000年に入り開かれた王室への支持率も徐々に上昇。エリザベス女王への敬意もますます強くなっていく。スエズ動乱、フォークランド紛争、EU離脱、新型コロナウイルスなどに加え、ヘンリー孫夫婦の王室離脱。


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常に気品と威厳を保ち、わたしたちの前に姿を現してくれた女王。華やかな記憶といえばオリンピックでの007ダニエル・クレイグとのコラボは王室とエンターティメントの夢の融合!


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近年はパディントンとのお茶会の模様も、、かわいらしい温かいやりとりは大絶賛に。


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茶目っ気たっぷりに。ユーモアもあった女王。


考えてみればーエリザベス女王はー冒頭の言葉にもあるように、英国の象徴であり文化であり続けた。~戦後から60年代~007、ビートルズらと共に~70年代、ピストルズが歌った「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン」はパンク革命の象徴に。世間からたびたび批判される税金問題などは別にして、文化を捉えるこころは、いつも優雅で女王は世相を悠然と受け止めていたように思う。


その後も王室が元になった数々の映画やドラマがどれほど制作されたか。最近は米放映「クラウン」が大ヒット高視聴率に。エリザベス女王は見ていなかったらしいのだけれど、、。


弔問に訪れた、72歳の英国男性が語っていた。


「わたしが生まれ、物心ついたときから、イギリスの女王はエリザベス女王だった。ほかは知らないんだ。それほど長く英国のために尽力してきたんだ」


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大戦中には女性パイロットとして訓練も学んでいたという。女性先駆者的存在でもありました。


わたしもおなじ気持ちです。英国=エリザベス女王が当たり前のようにいる時代に育ってきた世代。


チャーチルからジョンソンまで報告を受けた首相は14人に及び、しかも生前、48時間前には、新首相リズ・トラスとも握手を交わしていた女王。


もう、、エリザベス女王はいないのだと思うと日本人のわたしでも寂しい。優しい優雅な微笑みはもう見れないのですね。信じ難い気持ちです。


これからは、チャールズ国王、その家族、イギリス国民、そして世界中を、、誰よりも愛する旦那さまと一緒に空から見守っていて下さい。


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エリザベス女王、真のクイーン。長き間、国民のため、世界の外交のために尽力され、ほんとうにありがとうございました。あなたの偉業、献身、奉仕の姿は多くの人たちの胸に刻まれ、永遠に忘れられることはないでしょう。





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