『GetBack』ビートルズBlu-ray!レビュー感激と切なさと。Disk①

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(Photo persia bigest)

『ザ・ビートルズ:Get Back Blu-ray コレクターズ・セット』


ザ・ビートルズの約8時間にも及ぶ時空を超えた《体験型ドキュメンタリー・エンターテイメント》待望のブルーレイ・DVDで登場!巨匠ピーター・ジャクソン監督により“Get Back(復活)"を掲げて集まった4人が名盤「レット・イット・ビー」に収録された数々の名曲を生み出す歴史的瞬間、ラスト・ライブとなった“ルーフトップ・コンサート"が史上初ノーカット完全版として甦る。解散後、半世紀を超えて明かされる衝撃の真実とは?



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ビートルズ・ゲッドバックのBlu-rayが届きました。昨年、ディズニーチャンネル加入の時期を逃してしまったので、半年後、待ちわびた作品が遂に手元に。


昨年の記事で⇒映画「レット・イット・ビーへの思いは綴ったけれど、今回は、ほぼ全貌が分かるという夢のようなフィルム。早く観てしまうのはもったいない気持ちとは裏腹、貴重フィルムを一刻も早くこの目に焼き付けたいという感情のせめぎ合い。サラリと全編を目にし、1枚目DISKをゆっくり見終わった時点で、まずは感想をザっと書いておこうと。


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わたしはー自分がこれから多分観るだろうなという新作については、とくに大手レビューサイトのものはほぼ極力読まないことにしている。(公開から何十年も経過しているような、あらすじや批評がほぼ出尽くしているものは別として)SNS系ではコミュニティ性が強く共感に趣を置いているため、批評やレビューというよりは絶賛すればするほどイイねが付く傾向にあり、どうしても宣伝性の方が高くなりがちな気がしてしまう。新作は出来るだけ真っ新な自分目線で観たい。 


ビートルズ『ゲット・バック』も映画同様、なるべく事前の情報は入れないように、、というより作品自体がセッション・ドキュメンタリー。事前レビューなどを読んでも、おおよその成り行きを想像するだけで、結局観てみなければ何も分からなかったのだけど、却ってそれが大いにイメージを掻き立てられた要因にも。


そして、観た感想を一言でいえば、、


「哀愁こそなかったが、予告編で感じた和気藹々の楽しさとも違っていた」ということだった。


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ー映像は噂に違わず素晴らしくクリア。修復されたカラー発色は50年以上前のものとは思えない。膨大なフィルムが蔵出しされたことに感無量。もしー糸くずがついたようなレンガ色の古びたフィルムなら、これほどの驚嘆は得られなかったと思う。トゥイッケナム・スタジオ内のビートルズ。大画面で見ると自分もおなじ空間にいて横でセッションを聞く、観ているような臨時体験が味わえる。色褪せたフィルムなら伝わらなかった生々しさ!


50年という年月が運んだ技術進化。57時間フィルムに収めてくれたマイケル・リンゼイ・ホッグ。永久に埋もれかけた膨大なフィルムを選りすぐり、リマスター作業を進めたジャクソン監督&スタッフにもただ、ただ感謝。


ー鮮やかに解明されたこと。存在した本物と生の記録に敵うものはなし。『レット・イット・ビー』時は分からなかったー撮影時点でテレビショーとして放映したいという想定以外は、新曲もできておらず、ライブ・ステージ場所も決まっていなかった。スタッフは周りでどうするか侃々諤々。メンバーも企画討論にかかわりながらのセッション。


スタッフとメンバーはいくども話し合いながら詰めていく。カメラが回る中で新曲制作。「ドント・レット・ミー・ダウン」「アクロス・ザ・ユニバース」「アイ・ミー・マイン」「ゲットバック」など名曲が創作される過程がまざまざと見れる!バンドをしている人なら涙モノの光景だと思う。シンプルな機材が時代を感じさせるけれど、手を加えていない時代のリアル感が伝わってくる。


以前ー監督マイケル・リンゼイ・ホックが、ビートルズの4人にはじめて会ったときのことをこんな風に語っていたことがある。


「信じられなかった。彼らが目の前にいる。存在感が凄まじく、カートゥーンのようだった」


ーフィルムを見ると論より証拠! 20代半ばから後半の彼らは若く、美しく、ファッションからセンスまで、存在自体のカリスマ性、オーラが眩しいくらいに光り輝いている。


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しかしーいちばんヘヴィに感じたのは、、セッションという職場で働く人間たちの、人間関係の物語でもあるのだということ。


どんな仕事でも、あるチームやメンバーと組まなければならないときー自分から見たイヤなヤツ、虫が好かない相手とも共に作業をする場合の憂鬱な気持ちは誰にでもあるだろう。次第に広がるグループ内の軋轢。ジワリジワリと映像からも顕著に伺える。人間関係はつくづくムツカシイなあと感じてしまった。


それでも彼らはプロである。世界一のバンド、ザ・ビートルズ。そんなことは100も承知。自覚している。ただーやる気はほぼ失せかけているから複雑。


ーフィルムは回っている。20代後半とはいえガキではない。伴侶もいる。一応の大人である。まともにケンカなど出来ない。だから、ここには4人が根底に流れる不協和音をジョークでごまかしてみたり、おどけてみたり、ウィットに飛んだ言葉で返しながら、悶々と仕事をこなす、やるせなさがスタジオに充満している。


誰と誰。あの人とこの人。あっちとこっち。複雑に糸のように絡み合った人間関係。メンバーの個性を知っているファンが見れば見るほど、誤解を恐れずにいえば切なくて面白い。名優でも、ここまで自然な微妙な心の機微、揺れる内側を表現出来ない。リアルな会話は台本にも書けないと思う。


『君たちは世界一のビートルズだ。そんじゅうそこらのバンドじゃない。世界中のみんなが待ってるんだ』監督マイケル・リンゼイ・ホッグ、スタッフはひたすらメンバーを鼓舞しライが出来る場所を提案する。


では、、ビートルスのメンバーたちはどうかというと、、


リンゴは、過去の関係者たちの証言を裏付けるように、つねにメンバーを立てている。一歩下がり言葉をほとんど発しない。しかしー外国でライブをやるという企画には断固、拒否。それだけはハッキリ。心底人前のライブにウンザリしている。積極的でないことが分かるし非常に疲れているよう。


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ポールは積極的だ。メンバーの不満を上手く交わしながら、ありとあらゆる楽器に触れ、弾き、つねに穏やか。ときに鬱憤を吐くのを堪えながら、、この人はいつもどうしたって輪の中心になる。要はできる人。けれど出来る人は、ときに煩わしい人になってしまう。


ジョンはハイテンション。積極的にも見えるが、わたしにはジョンの脳内はなにも考えられないほど薬の影響でハイになっているようにも映る。存在は確かにそこにあり演奏もしてはいる。けれどー心はとうに別のところにあるように。隣にぺタリと引っ付いてるヨーコの配置も映像でより鮮明になった。、、鉄の女というのか、場違い感という言葉さえ超え、、昔ーある作家が書いた『鈍感力』という本を思い出した。メンバーたちの不快感はココではカットされているのか明らかな不惑さは映し出されていない。ただー正方形のセッション位置に彼女がいたことへのメンバーたちの違和感は相当なものだったとフツウに考えて想像するに余りある。


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メンバーたちは彼女をほぼ目の中に入れないように完全無視、存在しないかのようにセッションを繰り広げる、、並みの神経なら本人がいたたまれなくなり「失礼します」といい、場を立ち去るとも思えるけれど、彼女にその軟(ヤワ)な神経は当てはまらない。まったく如何せず編み物をしたり本を読んでいる。ブレない姿ーわたしが『鈍感力』という言葉を思い出した所以だ。そこにはーもちろん、それを容認しているジョンという人がいる。冷静に見たら「かなりイタイ2人」である。ー身勝手な大風呂敷を広げた二人がいる前提で、このセッションが摩訶不思議な息苦しさも漂う空気感の中で繰り広げられていることも忘れてはならない。


ヨーコに関しては、ジョンレノンファン、往年のファン、若いファン、それぞれが持つヨーコ論があると思う。ただーわたしはジョンの生前40年前から彼女に対するスタンスはほとんど変わらない。「ジョンが好きならヨーコも好きにー」という概念はわたしには当てはまらないで、きた。いつかその辺りの思いも語ってみたいとは思うけれど、ヨーコ論で議論する気はまったくないので、それぞれが感じている想いで良いと思う。ちなみにーわたしがビートルズ夫婦でもっとも深い愛で結ばれていたと感じるのはポールとリンダ夫妻だ。


そしてージョージ。観ていると最年少であるジョージがいじらしくて、いじらしくて、、


ジョンとポールという二大キングがそびえ立つ、ビートルズでいることへの彼の苦悩や葛藤に、いたたまれない気持ちになってくる。


ジョージは一刻も早くバンドから離れ、自由気ままに、自分の好きなことをやりたかったことだろう。


わたしは以前からビートルズの解散は色々な要素が重なり、どれかとは言い切れないと思ってきた。しかし大きな原因のひとつにはジョンとポールより、ポールとジョージの上下関係の歪が年々膨らんでいき、ジョージが抑圧に耐えられなくなったことも大きく作用していたと感じている。


フィルムでも、ジョージは懸命に音楽の知識、書いてきた曲「I Me Mine」など披露したりするーしかし、ほかのメンバーはいまひとつ乗り気ではない様子。皆セッションには加わるのだが。ジョージはメンバーの微妙な空気を感じ取り、皮肉なジョークや笑いで何度もかわそうと試みる。


だがー自分の弾くギターをボールにダメ押しばかりされ、ついに不満と鬱憤がたまりかねてしまう。


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しかしー事細かく注意深く観ていくと、ポールはまだ、なんだかんだでジョージを気遣い彼を引き立てようとはしているのだ。


じつはージョンの方がジョージに対してはシビアだ。なぜならージョンはジョージの創作にはほとんど関心がないようにも見える。ほぼジョージを見てもいない。


わたしはフィルムを観て、数年前に公開された映画『ビートルズとわたし』という、著名人たちがビートルズ愛を語るといったドキュメンタリーを思い出した。その中で、彼らの幼なじみであり、ビートルズのアシスタントを長年していた、トニー・ブラムウェルという人の語った言葉を。


『ジョンとジョージは、ふだんは視線すら合わせなかったね。ジョンにとってビートルズは自分とポールだけだ。それが自分そのものだったのさ』


彼の語った言葉が、フィルムを見るとより興味深く意味を持ってくる。


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DISK1を観たたけでも、さまざまに新たなことが浮かび、あらゆることが繊細に感じられるのだから、最後まで観終わったらどんな感想が自分の中から湧いてくるのか楽しみ。なにしろ150分が三枚もあるので、ゆっくりジックリ味わいながら観ていこうと思っています。ほかの記事との合間に、DISK2、DISK3の「ルーフ・トップ」レビューなども綴ってゆけたら…(願)


上映も最終にさしかかり駆け込みで映画『エルヴィス』もやっと鑑賞してきた。まだまだ書きたいことがいっぱい。まずは連日の酷暑を乗り切らねば。



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Comments 2

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ギターマジシャン  
ゲットバック

ディズニープラスに加入しなかったうえに、ちょっとブルーレイやDVDセットも様子見の自分です。

「ゲットバック」としての予告編は、和気あいあいの映像満載でしたが、もともとの「レット・イット・ビー」の不仲な状況も確かにあったわけで、映像がきれいになって、未発表場面が増えたことは嬉しいのですが、購入を決断するには、どうも複雑な気持ちです。

映画とは話がそれますが、ヨーコのこと、映画を初めて見た中学生当時の自分は、こんな不気味な年増の日本人のどこが良いのか、それもリハから本番から付きっきりでは周囲も嫌だろうなと怒りを覚えました。

ビートルズがらみの話はきりがなくなるので、このへんで。

m-pon5さんが、これからもリポートされるのを楽しみにしております。

2022/08/04 (Thu) 20:22 | EDIT | REPLY |   
m-pon5
m-pon5  
Re: タイトルなし

> ギターマジシャンさん
コメントありがとうございます♪

名曲が制作されていったセッション場面が、50年後に修復画像で見れるとは奇跡ですね。
ギターマジシャンさんのように実際に演奏される方には、より楽しめるフィルムではないかと^^
ただ、おっしゃる通りメンバーの空気感は微妙(それを読み取るのも長年のファンとしては興味深いのですが)あとは~セッションが延々と続くので一、二度は眠気が…!?(笑)でも決して面白くないワケではなく、映像は目が覚めるほど美しく長年のファンにはあらゆる角度から深読み出来るフィルムなのでお薦めですv 

「レット・イット・ビー」を観たか観てないかによっても確かに感じ方は違うかもしれませんね。わたしも70年代リバイバルを観たときからヨーコのインパクトは変わらずです~。DISK2 DISK3でメンバーの印象含めまた違ってくるのかなとワクワクしております。興味尽きない話題がバンバン出てきて、ビートルズは永久に解くことの出来ないパズルのようですね。

2022/08/06 (Sat) 07:44 | EDIT | REPLY |   

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