『世界でいちばん幸せな男』ほか小説、海外本など最近読んだ本まとめてレビュー

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ブログをはじめた当初には、こちらに書いていた本の感想ですが、、、


以前の記事に綴ったように、いまは、もっぱら⇒『読書メーター』を活用。主に小説の感想を、自分自身の備忘録のためにもレビューしています。


けれどー小説以外の本は読んでレビューする時間がないまま、記録からこぼれ落ちてしまったりと。一層ブログでも残しておこうという気持ちになり、、最近~6月、7月と小説以外に読んだ本、(読書メーターに書いたものとも被ってしまう本もあるけれども)、ぜひお薦めしたい小説など、印象に残った本などをここに書き留めました。


「へーこんな本もあるのかー」なんて気楽に気軽に、いつか読んでみようかなあとか気に留めていただけたら幸いです。


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「世界でいちばん幸せな男: 101歳」エディ・ジェイク ‎ 河出書房新社


ー最近でいちばん感銘をうけた本から、、


表紙の慈愛に満ちた優しい笑顔、エディさんは101歳。ー微笑みからは想像することのできない壮絶な過去があった。昨年発売され世界中で絶賛された著書。


アウシュビッツ本に関しては、世界中で読み継がれてきた『アンネの日記』『夜と霧』など名著がたくさんあり、毎年のように児童書も含め多く出版されている。けれどーエディさんの本はそれらとも少し趣が違う。映画の脚本家でさえ到底想像できないような過酷さ。国境線を超え国から国へと展開する物語。ーご本人がご存命であったからこそ、いまに引き継がれる重要で大切な言葉で溢れている。


ドイツで暖かいユダヤ人家族の中で生まれたエディさん。ナチス侵略によりドイツ収容所からベルギー、フランスへと逃亡。その果てに地獄アウシュビッツへ。拷問され、飢え、凍死寸前など、あらゆる極限状態の中、生き抜くことが出来たのは自身の知恵、生命力。ー父が教えてくれた教訓であった。


『人生で大切なこと。幸運は分け合たえるものだ。友人、家族、親切。゛人゛には銀行の預金残高以上の価値がある』


言葉どおり、友や見知らぬ人たちからの「助け」 さらにー『技術は身を助ける』父の薦めで少年時代に通った技術専門校。学んだ機械技師としての知識が彼を救ったのだった。


晩年はオーストラリアで家族と暮らし、99歳のとき「TEDx」で自身のホロコースト経験を語ってからは、謙虚で慎み深い勇気が世界中の多くの人の生きる希望に。穏やかな日々をおくる101歳のエディさんは語る。


「人生のもっとも辛い時期から抜け出したとき、これからはずっと幸せで笑顔でいようと思った。人生はつらいときもある。しかし生きているのは幸福だ。ひと呼吸、ひと呼吸が贈り物。どうか毎日幸せでいて下さい。ほかの人も幸せにしてあげて下さい」


シンプルで限りなく優しいメッセージ。子供から大人まで一人でも多くの人に読んでほしい素晴らしい愛に溢れた本。


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「大正ガールズコレクション」女学生・令嬢・モダンガールの生態 らんぷの本 河出書房新社



さかのぼること、100年。当時の若い女性たちはどんな生活をし、何を夢見ていたのか?大正ブームの今だからこそ、当時の新聞・雑誌記事を紹介。「時代の資料として活用できる」1冊に。


自分が生まれた昭和も大好きな時代ーしかし明治、大正時代の近代社会にもこよなく惹かれます。西洋と東洋の世界が絶妙に重なりつつあった時代。小説、ファッション、文化。わたしの祖母は大正8年生まれ、森光子や原節子とおなじ歳。もちろんーそんな銀幕の大女優は夢のまた夢の世界。田舎のお百姓の娘だった祖母は苦労の連続。けれど祖母が子供のころ、わたしに見せてくれた女学生時代の写真は、苦労の中にほんの少しの幸せが垣間見れ、かわいらしくてハイカラさんそのもの。


掲載されている麗しき数々の大正モダンガール。窮屈な毎日の中でも現在の女性たちとおなじように恋愛に悩んだり、社会に反抗してみたり。時代にタイム・スリップして彼女たちといろんなことお話してみたい。


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「木曜殺人クラブ」 リチャード・オスマン著 羽田 詩津子 (翻訳) ハヤカワ・ポケット・ミステリ



全英図書賞の年間最優秀著者賞を受賞。エドガー賞最優秀長篇賞、国際スリラー作家協会賞最優秀長篇賞、バリー賞最優秀新人賞、アンソニー賞最優秀新人賞など数々のミステリ文学賞にノミネート。


イギリスで最速の100万部超え。日本でもミステリーがすごい8位に選ばれた伝統的英国流満載のユーモア・サスペンス。舞台が高級老人施設だというところが、そもそもユニーク。起こったある殺人事件。土地の立ち退き問題が複雑に絡んでる上に展開は思わぬ方向に分散していく。謎解きするのは施設内に秘密に設けられた「殺人クラブ」のメンバー。ワケあり人生を抱えるおじいちゃん、おばあちゃんたち。ブラックジョークと人生の侘しさも踏まえた娯楽作。登場人物がかなりの数で出てきくるので、それさえ整理できれば翻訳が苦手な方でも大丈夫、ゆったり~イギリス流サスペンスの世界を午後の紅茶のお供にでもぜひ。


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水木しげる (KAWADE夢ムック 文藝別冊)KAWADE



水木先生が好きです。鬼太郎などの漫画もですが、先生の「死生観」になにより惹かれますね。ニューブリテン島の戦場で戦い極限状態まで体験した人ならではの哲学。「なまけものになろう」戦争も貧乏も、すべてをやり尽くした人だからこその生きざま。幼き日に妖怪話を教えてくれた、のんのん婆の存在と戦争体験なくしては独自の世界観は生まれなかった。人の非情さも豊かさも両方知っている先生だからこその到達点。収められている短編漫画「錬金術」…人間の欲深さの哀れさを描き出す先生の俯瞰した洞察力、なんど読んでもズキンときます。


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「黒き荒野の果て」 (ハーパーBOOKS) 文庫 – S・A コスビー 加賀山 卓朗 (翻訳) 2021年アンソニー賞、マカヴィティ賞、バリー賞、脅威の3冠受賞の新人作家!



米国南部の町で自動車修理工場を営むボーレガード。裏社会で語り継がれる伝説のドライバーだった彼は、足を洗い家族とまっとうに暮らしていた。だが工場の経営が傾きだしたことで運命の歯車は再び狂い始める。成功するはずだった。金ギャングの抗争に巻き込まれるまでは――。


最近の多様化で黒人作家のエンターティメント作品も続々と出版されるように。ページが止まらぬほどダーティでスピード感が炸裂する。極貧、最悪のゲットー状況から抜け出し家族を養うために全うな道を歩むため自動車工場を経営する主人公ボーレガード。ーある事件を境に彼は再び過去の世界に染まるべく、悪の仲間たちと銀行強盗を決行する。死ぬか生きるか。カーアクションの爆発力が筆を通し文章から飛び出してくる。アクション、クライムが好きな方にとくにお薦めです!


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「ガーナに消えた男」クアイ・クアーティ ハヤカワポケットミステリ。灼熱の地ガーナを舞台に新米女性探偵の活躍を描く2021年度シェイマス賞新人賞受賞作!



長き欧米ミステリーの歴史からここ数年はそれが北欧ミステリーブームへと広がり、昨今はアフリカやインドなどの地を舞台にしたミステリー作も続々出版されるように。海外の名高い賞など受賞するような実力ある作家たちの作品も翻訳され、ひときわ多様化時代を感じさせる一作。


舞台はガーナとアメリカ。近年、世界的問題になっている「国際ロマンス詐欺」!婚活サイトで、ガーナ美人と知り合ったアメリカ人男性がガーナで行方不明に。元巡査の探偵エマ・ジャンはただちに捜査を開始。ー当初たんなる失踪と思われた事件は、警察汚職、大統領候補暗殺事件などのさまざまな暗部へとつながっていた……ガーナ人女性が主役。それだけでも新鮮なのにストーリーも二転、三転。主人公のエマがとにかく純粋で優しい。ガーナという遠い国が神秘かつ身近に感じられるエンタメ作。


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「魔の山 」ジェフリー・ディーヴァー (著) 訳 池田 真紀子 文藝春秋



ヘイトクライムの犯人を捕らえた流浪の名探偵ショウは、背後に自己啓発カルト教団があるとにらんで潜入するが…。好評新シリーズ第二弾。


当代きっての人気ベテラン作家ジェフリー・ディーバー。賞金稼ぎ、名探偵でもあるコルター・ショウを主役にした2作目。読んだのは1か月ほど前。まさかー数か月後の日本で、小説を読んだときとおなじ怒りと憤りを感じることになるなんて。


ある行方不明事件が、カルトに絡んでいることを知ったショウは、覆面捜査を開始すべく教団に潜入。そこには愛する人を失い、こころの行き場を失った人々がカリキュラムを受けていた。追っていくうち、胡散臭い説教法、多額の献金、警察上層部との深い闇のつながりを突き止めたーショウは犯人を追い詰めるべく、父親から教わった天性のサバイバル技術と直観力で事件の真相を追っていく。


ー社会的なカルト問題を題材にした小説は古くから海外でも定番。いまさらーベテランのディーバーがコレを!?とファンからは絶賛と同時に、予定調和過ぎるのではとの声もあがったほど。けれど完璧すぎるほどのディティールは抜群。マインドコントロールで人を勧誘し、こころの隙間に入り込み、献金を利用する悪徳カルト。さらには政治、警察との癒着。悲しい目に合うのはいつも弱い人たちだ。


主人公ショウのような全うな正義感と誠実さを持つ人がいるならわたしはその人を支持する。過去に起こったカルトの凶悪な被害に遭われた方たちの苦しみや悲しみ。わたしたち世代はみんな覚えている。日本で起こった信じられない悲劇。絶対あってはならないこと。心から哀悼の気持ちが湧いてくる。だからこそ二度と繰り返さないためにも、検証し隠さないでほしい。マスメディアも政府も真実をないことにしないでほしい。ー表現の自由を与えられた多くの作家たちが憤りをいつか物語としてペンに託すのではないか。そんな想いがします。ディーバー作品もこんな機会だからこそぜひ一読されるのも良いかも。


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「田辺聖子 18歳の記録」文藝春秋 75年の時を超えて発見された奇跡の日記文学」



我が家の焼失、敗戦、早すぎる父の他界……。すべてを失った彼女はそれでも、小説家への夢だけは諦めなかった。月刊「文藝春秋」に掲載されるや、たちまち新聞・テレビ等で大反響に。田辺文学の源泉にして、一級の時代の証言。中短篇4作を収録したほか、梯久美子氏の解説をはじめ、注釈、年譜なども加えた完全版、ついに刊行。


国民的作家・田辺聖子。没後2年の今年、1945年から47年までの青春期を綴った日記が発見された。再放映中『芋たこなんきん』も好評の田辺さんの最も多感な十代の少女期。想いのままの文章は将来の器を十分に感じさせるほど立派で率直、ほとばしる才能が溢れている。日記に書くことが、どれほど当時の田辺さんのよりどころになっていたことだろう。時代記録としても貴重。


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「この道の先にいつもの赤毛」アン・タイラー  小川 高義 (翻訳)



最後はわたしの大好きなアメリカ人作家、アン・タイラーの新作。アン・タイラーらしいユーモラスで滋味深い仕掛けが光る、2020年ブッカー賞候補作。


過去に『偶然の旅行者』(アクシデンタル・ツーリスト)などが映画化、米ではほかの作品もドラマ化され、常に新作が出版されればNYタイムズ・ベストセラーにランクされる人気作家。人の普通すぎる日常の中の鬱積や不満を、さりげなくシニカルに映し出し、何度もクスッと微笑んでしまう喜劇も含んでいる作風が、とにかく読んでいて心地よい。一度ハマれば、ハマるだけハマってしまうのがアン・タイラー。


主役は四十代、独身、潔癖症であり便利屋の男性マイカ。人との付き合いが苦手な彼。毎日のお決まりの自分流ローテーションをこなしていく中で、幸せを見つける。人とかかわることを、誰より過去にも避けていたのは自分自身だったと気づくまでの物語。タイトル「赤毛」の正体は…読んでいれば、何なのかーきっと見えてくるはず。


ほかにもここに書ききれなかった、発売されれば必ず読んでしまう作家。桐野夏生『燕は戻ってこない』奥田英郎『コロナと潜水服』などもそれぞれの持ち味が生かされた好作品だった。


読書は心の癒しであり、音楽や映画とともに元気の素。世界のいかなる、どんな場所へも誘ってくれて、誰かのこころの内側の喜びや悲しみにもそっと寄り添う。、いつの時代にも人々を勇気づけ元気にする大切な宝物であり続けます。



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Comments 2

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ギターマジシャン  
読書

本当に本を読まなくなってしまい、新聞の書評や、こうしてブログで拝見した本で興味がわくと、図書館に予約しますが、順番が回ってきた頃には興味がなくなっている本が大半で、数ページで放り出してしまい、この数年、1年に10冊も読んでいないです・・・。

自宅の近辺も勤務先の駅前の本屋さんも、どんどん閉店してしまい、新刊本に触れる機会も減ったのですが、先日、渋谷のジュンク堂書店を初めて覗いたら、あまりの本の多さに圧倒されて、眩暈を起こしそうになりました。

2022/07/18 (Mon) 20:28 | EDIT | REPLY |   
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m-pon5  
読書

>ギターマジシャンさん
コメントありがとうございます♪

図書館で何百人待ちだと回ってきたときには「あれ、何の本だっけ」なんて忘れてしまってますよね。こちらはせいぜい人気作でも20人くらい。それでも約半年待ち。ど~しても欲しい本は購入し残さなくてもいいかな本はメルカリへ直行しますv

ギターマジシャンさんは音楽制作もありますし♪
本はゆっくりとした時間がないと落ち着いて読めないですよね。

わたしの場合はソファの上にも家事の合間も電車通勤時にも本が必須で。活字見て本を触ってるだけでなんだか落ち着くんですね。活字中毒に近いですよねゞ現役世代もっと時間が欲しいです~~。

2022/07/19 (Tue) 14:15 | EDIT | REPLY |   

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